夕暮れが海に沈むころ、画面の中で彼らの旅も静かに終わった。
『今日好きニュージーランド編』最終回。
告白の声が響いて、照れ笑いや沈黙の間に、恋の結末がにじむ時間──
でもその日、画面の右上に「成立カップル:0組」と表示されたとき、多くの視聴者が一瞬、言葉を失ったのではないだろうか。
誰とも付き合わない。
でも、それは誰にも想いがなかったわけじゃない。
「この人とだったら、ちゃんと恋ができる」と信じる気持ちが、誰よりも真剣だったから。
今回は、そんな“成立ゼロ”という選択の背景にあった、それぞれの恋の答えを辿っていきたい。
✔️成立カップル数:0組
✔️登場メンバー:せり、みづき、ゆうや、ひなた、りくと、とうい、さわ、おうが、はるあ、もか
最終回はいったいいつ?“恋の答え”が出たその夜
2025年5月5日、ABEMAで配信された『今日好きニュージーランド編』最終話。
告白を経てのカップル成立はまさかの「ゼロ組」。この結果にSNSでも驚きと共感の声が広がった。
でも、実際の告白シーンを見れば、それが単なる“恋の失敗”ではないことはすぐにわかる。
誰もが「なんとなく」で相手を選ばず、自分の気持ちに向き合ったうえでの“誠実な選択”だったのだ。
ふいに真っ白になったスクリーンのあと、胸に残った沈黙
告白を終えた直後、場面がふわっと切り替わり、白いテロップで「カップル成立:0組」と表示された瞬間。
目の前の光景に、言葉が追いつかなかった。
でも、その沈黙のなかには、どこか温かく、静かな納得が漂っていた。
“無理に付き合うことを選ばなかった”その判断に、大人びた誠実さを感じた人も多かったのではないだろうか。
愛着理論的に見れば“確証バイアス”が恋を選ばなかった理由だった?
愛着スタイルの観点から言えば、今回のメンバーたちは「安心型」や「自己確立型」が多かった印象がある。
不安から急いで関係を結ぶのではなく、“信じられる確証”がないと恋を進めない。それは誠実であると同時に、恋愛においては“立ち止まる力”でもある。
成立ゼロという結果は、「恋が始まる条件」を慎重に見極めた証だったのかもしれない。
成立ゼロの選択、それぞれが見つけた“恋の答え”
「付き合わなかった」ことに対して、失敗とも未達成とも感じなかったのは、
それぞれの“答え”が、確かにその人の中にあったからだと思う。
誰かと歩き出すことだけが正解じゃない。
この旅で、自分がどんな恋をしたいのかを知る。
その過程自体が“恋をしていた証”だったのかもしれない。
“友達のままでいたい”というせりとみづきのあたたかい決断
せりとみづき。
ふたりは初日からまるで兄妹のように、笑いあい、からかいあい、近い距離で過ごしてきた。
でも最終話、ふたりは“恋”という選択をしなかった。
「今の関係が一番心地いい」と、そっと言葉を交わして終わる。
それは、お互いを想っていたからこその答えだったのだと思う。
安心型愛着が見せた“関係維持の勇気”
安心型の人たちは、「壊したくない関係」を大事にする。
恋人というラベルをつけることで、今ある関係が崩れるのを恐れる傾向がある。
せりとみづきの決断も、「このままでいい」と思えるだけの安心感があったからこそのもの。
好きと伝えることよりも、“大切にしたい距離感”を守る選択が、たしかにそこにあった。
三角関係の行方:みづき × せり × ゆうや
今シリーズで最も注目を集めたのが、みづきをめぐる三角関係。
継続メンバーのせりと、初登場ながら情熱を見せたゆうや。
“兄妹のような関係”だったせりとの絆。
そして、“まっすぐ想ってくれた”ゆうやの存在。
みづきが最後に選んだのは、「誰かを選ばない」という答えだった。
せりといるときの“胸がほっと温かくなる感じ”
せりといるとき、みづきは心の底から笑っていた。
恋のドキドキというより、深呼吸できるような安心感があった。
でもそれが、「恋」なのか「友情」なのかは、最後まで線引きが難しかったのかもしれない。
そのもどかしさこそが、ふたりの関係の“真実”だったように思う。
不安型のゆうやが“潔く身を引いた”心理背景
ゆうやは、不安型の愛着スタイルを感じさせるタイプ。
相手の反応を気にして、ぐっと気持ちを押し殺す場面も多かった。
最終話でゆうやは、「伝えないことを選ぶ」。
それは、みづきの気持ちを尊重しつつも、自分を守るための“静かな防衛”だったように思える。
好きだからこそ、言葉にしない。
その切なさと優しさが、画面越しにもじんわりと伝わってきた。
ひなたの揺れ:りくと?とうい?選ばなかったその理由
恋の矢印が交差していたひなた。
元気で明るいキャラとは裏腹に、心の奥には“迷い”がずっとあったように見えた。
積極的にアピールしてくれたりくとと、ふたりきりの時間で距離を縮めたとうい。
その間で揺れた彼女が出した答えもまた、“どちらも選ばない”というものだった。
“最後に心に刺さったのは、りくとの笑顔だった”
告白シーン直前、りくとが用意したプレゼント。
少し照れた笑顔で「開けてみて」と渡す様子は、見ているこっちが照れてしまうほどの好意の証だった。
ひなたの表情も、ほんの一瞬、やわらかくなっていた。
でも、「恋人になるには足りない何か」が、最後まで残っていたのかもしれない。
愛着スタイルから読み解く“選ぶより守りに入った”判断
ひなたの判断は、“どちらも選ばない”という一見消極的な決断だった。
でもそれは、相手の気持ちを傷つけないためのやさしさでもあり、自分の気持ちに正直であることへの覚悟だった。
愛着理論で言うなら、ひなたは「回避型」と「安心型」のはざまで揺れるタイプ。
「誰かに決めきれない」その迷いは、まだ恋に踏み出す準備が整っていなかった心のシグナルだったのかもしれない。
遠距離のはるあとおうが──“好き”だけじゃ乗り越えられないもの
おうがの“男らしい一直線な想い”は、今回の旅の中でも特に印象的だった。
手作りのバラの花束を用意し、まっすぐに想いを伝えた姿は、画面越しにも胸を打つものがあった。
その告白に向けられたはるあの答えは、「未来が見えないから、ごめんなさい」。
どこか寂しそうに、それでもはっきりと想いに応える彼女の姿に、“好き”だけじゃ超えられない距離があることを感じた。
自転車でも会いに行くって言われても、未来が重たかった
おうがの熱意に応えたい気持ちは、はるあにもきっとあったと思う。
でも、「その想いを受け止められるだけの自信がなかった」。
それが、彼女の本音だったのではないだろうか。
“好き”の気持ちがあっても、その先を想像できない。
それは、恋をする上で最も切ない現実かもしれない。
回避型愛着が見せた“安心できる距離の必要性”
はるあの反応には、“近づきすぎることへの不安”がにじんでいた。
回避型愛着の人は、強い愛情に対してプレッシャーを感じ、距離を取ろうとする傾向がある。
おうがの一途さは、素晴らしいものだった。
でも、はるあが本当に安心して恋をできる相手は、もう少しゆっくり寄り添ってくれる人だったのかもしれない。
もか&さわ──告白せず、それぞれが出した“応援”という形
もかもさわも、それぞれに好きな人がいた。
でも、最後まで告白という選択を取らなかった。
それは、相手を思ってのことでもあり、自分自身の感情に区切りをつけるための静かな決断だったのだと思う。
あえて声にしない、でもすべてを伝える“静かな強さ”
伝えなかったことは、伝えられなかったわけじゃない。
むしろ、言わなくても“伝わるもの”を信じていたようにさえ思える。
もかは、ゆうやへの一途な想いを。
さわは、とういを想う切なさを。
その姿はどこか美しく、そして少しだけ、大人びて見えた。
感情抑制型の愛着特性がここに出ていた?
もかとさわに共通するのは、“感情を言葉にするのが少し苦手な子”という印象。
愛着スタイルでいうと、感情抑制型(回避型寄り)の傾向が感じられた。
「好きです」と言う代わりに、「がんばってね」と応援したふたり。
それは言葉よりも優しさで想いを伝えたかった、静かな恋のかたちだった。
🎞️ しおりの記憶帖:あのときの“選ばなかった恋”と重なる気持ち
『今日好き』の長い歴史の中で、カップル成立がゼロだった旅は決して多くない。
でも、その少ない記憶のなかに、今回のニュージーランド編と“どこか重なる”空気を感じた人も多いのではないだろうか。
たとえば、2024年に放送されたホアヒン編も、同じく“成立ゼロ”で終わったシリーズだった。
そのときも、参加したメンバーたちは誰かを好きになったし、真剣に想いを伝えていた。
でも最後には、「本当に付き合いたいと思える相手か?」という問いに正直になった結果、誰もが答えを出せなかった。
そしてもうひとつ思い出すのは、沖縄編のエピソード。
あのときも、「このままの関係を壊したくない」という理由で、友達のままを選んだカップルがいた。
「好きだけど、付き合えない」
そんな言葉が胸に残る旅は、きっと“恋が実らなかった”わけじゃない。
それぞれが誠実であろうとしたからこそ、「選ばなかった恋」が生まれたんだと思う。
今回のニュージーランド編もまた、そんな“選ばなかった恋”の記憶に、そっと並ぶシリーズとして、心に残っていく気がしている。
まとめ:選ばれなかった“恋”が、心を動かす理由
『今日好きニュージーランド編』は、成立カップル“ゼロ”という結末で幕を閉じた。
でも、それは決して“なにもなかった旅”ではない。
むしろ、それぞれが真剣に自分の気持ちと向き合い、恋の始まりを「慎重に選んだ」旅だった。
誰かと付き合うことよりも、誰となら安心して恋ができるか。
それを考え抜いた彼らの姿は、成熟した恋愛の入り口を見せてくれたように思う。
次にまた彼らが恋をするとき、今回の“選ばなかった恋”が、糧になっているはず。
そんな未来を想像しながら、また次の“今日好き”を見届けたくなる最終回だった。
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