あの日、マクタンの海辺に沈んでいく夕陽を見ながら、私たちは一つの告白を待っていた。
でも、その瞬間は来なかった。
「今日好き マクタン編」で描かれたのは、誰かに気持ちを伝えるというシンプルな行動が、どれほど複雑で、どれほど痛みを伴うかということ。はると君が「選ばなかった」という選択は、ある意味で“告白しなかった”のではなく、“誰も傷つけないために、自分が背負うことを選んだ”のかもしれない。
彼の沈黙に、私たちは自分の恋の記憶を重ねた。
あのとき、好きって言えなかった自分。
誰かを選べなかったことを、優しさでごまかした過去。
あるいは、傷つくのが怖くて、一歩踏み出せなかった夜。
「好きだよ」と言えた人だけが、恋をしているわけじゃない。
このマクタン編は、その“言えなかった気持ち”にも、ちゃんとスポットを当ててくれたように思う。
だからこそ、誰も告白しなかった“あの男子”に、私たちは心を奪われたのだ。
✔️告白の行方: 成功1/未告白1(はると)
✔️感情の焦点: 告白できなかった理由と、その選択の意味
第1章:「選ばなかった恋」は、ほんとうに逃げだったのか?
誰かを選ばないという選択は、時に“逃げ”だと見なされることがある。でも、はると君が見せた背中には、明らかに“誠実さ”と“苦しさ”が滲んでいた。
告白しなかったというより、告白をあえてしなかった。そこにはどんな想いがあったのだろうか?
「好きって言うことは、誰かを傷つけること」——彼が沈黙を選んだ理由
はると君が誰にも告白しなかったのは、決して感情がなかったからではない。
さらとねね、両方に対して少しずつ気持ちがあったからこそ、片方だけを選ぶことができなかったのだ。
多くの恋リア参加者が、どちらかを「選ぶ」ことで物語を完結させる中で、彼は最後まで迷い続けた。
選ぶことができなかったのではなく、「選ばないことを、選んだ」。
それは、誰も否定したくなかった彼なりの誠実さだったのかもしれない。
愛着理論で読み解く:はるとは“安心型”じゃない。不安と責任のはざまで揺れる心
恋愛心理の視点から見れば、はるとの行動には“回避型”と“責任感の強い不安型”の要素が入り混じっているように見える。
彼は距離を詰めすぎず、かといって突き放すわけでもなかった。
それは、相手の気持ちを思いやるがゆえの“葛藤”だった。
特に印象的だったのは、告白辞退後の表情。
悔しさでも、未練でもない、「これでよかったのか」という静かな迷い。
この姿に、「誠実な人ほど恋が難しくなる」という現実を、痛いほど感じた。
第2章:さら・ねね・ひな、三人の視点で見る“選ばれなかった側の痛み”
恋愛リアリティーショーの魅力は、成立カップルだけではない。
むしろ“選ばれなかった人たち”がどんな想いを抱えて旅を終えたのかに、視聴者の心は強く共鳴する。
今回のマクタン編では、さら・ねね・ひなという三人の女子メンバーが、それぞれ異なるかたちで恋の終わりを迎えた。
その心の動きは、告白という言葉以上に、彼女たちのまなざしや沈黙に表れていた。
ひなのまっすぐさが、かえって切なかった理由
ひなは、はるとへの想いをずっと真っ直ぐに伝え続けた。
誰よりも“自分の気持ち”に正直で、それを隠そうとしなかった彼女。
でも、その真っ直ぐさは、報われる保証のない恋では、時に刃のように自分を傷つける。
はるとが誰にも告白しなかったという事実は、ひなにとってある意味で“選ばれなかった”ことと同じだったのかもしれない。
最終話のあと、ひなが見せた少しうつむいた笑顔。
あの表情には、「好きになってよかった」と思いたい気持ちと、「伝えたけど届かなかった」という静かな痛みが、確かに重なっていた。
さらの冷静さとねねの涙——同じ“三角関係”にいたふたりの対照
さらとねねは、はるとをめぐる“静かな三角関係”にいた。
さらは、一歩引いたように見える場面が多く、感情の起伏をあまり表に出さなかった。
でも、その姿勢は、“自分の心を守るため”の冷静さでもあったはず。
一方で、ねねは迷いながらも想いを届けようとし、最後には涙をこぼした。
その涙は、「もっと早く動いていればよかった」という後悔にも、「想っていた自分を裏切らなかった」という誇りにも見えた。
同じ恋にいたはずなのに、感じたものはまったく違う。
そのコントラストが、今回のマクタン編にリアリティと深みをもたらしていたのだと思う。
第3章:かなと×りのん——“伝える勇気”が恋を結ぶとき
今回のマクタン編で唯一成立したカップルが、かなととりのん。
激しい駆け引きや揺れ動く感情が渦巻く他の関係性と比べると、彼らのやりとりはどこか穏やかで、どこまでも“自然”だった。
でもその自然さこそが、ふたりの恋のいちばんの強さだったのかもしれない。
朝のジンベエザメデートがくれた「安心できる恋」の輪郭
成立の伏線となったのは、旅の後半にあったジンベエザメとのデート。
大きな水槽の前で並んで歩いた時間。
その中でりのんが見せた笑顔と、かなとの“何気ない言葉の選び方”が、どこか心に残った。
気をつかわずに一緒にいられる。
恋の始まりって、本当はそれくらいシンプルでいい。
りのんが「かなと君の前では、素の自分でいられる」と語ったその瞬間、
彼女が「好きになる理由」はすでにそこにあったのだと思う。
「ちゃんと伝えた」かなとの告白が響いた理由
かなとの告白は、特別な演出やサプライズがあったわけじゃない。
でも、それがかえって良かった。
シンプルに、「好きです」と伝える。
その一言に、今までの時間や不安、そして希望が全部詰まっていた。
りのんがその気持ちを受け取ったとき、恋は“言葉”になる。
だからこそ、はるとの“選ばなかった恋”との対比で、かなとの“伝える恋”がより鮮やかに映ったのだと思う。
第4章:SNSで爆発した“心の共鳴”——視聴者は何に泣いたのか
今回のマクタン編で最も視聴者の心を動かしたのは、“告白のなかった告白シーン”だったかもしれない。
SNSでは、はるとの沈黙に対して「逃げたんじゃない」「あれは優しさ」といった声が相次ぎ、#今日好き が感情のハッシュタグで溢れた。
「誰かを選べないって、わかる」——見ている私たちが共鳴した感情
X(旧Twitter)では、こんなコメントが多く見られた。
「誰か一人だけを選べないって、優しさでもあり、苦しさでもある」
「告白しなかったはると君がいちばんリアルだった気がする」
「“選ばれない側”の涙が、昔の私みたいで苦しかった」
視聴者が心を寄せたのは、恋の結果よりも、“その過程にある葛藤や迷い”だった。
だからこそ、はるとの背中に自分の記憶を重ねたり、ひなの涙にかつての自分を見出したりした人が多かったのだろう。
“成立1組”の静けさが、よりいっそう余韻を深めた
例年に比べて、今回はカップル成立が1組のみという異例の結末。
この“静かな終わり方”が、感情の余白を広げた。
成功や失敗では語れない恋のゆくえ。
言葉にしないまま終わる恋にも、確かに“物語”があるということを、このマクタン編は教えてくれた。
私たちは「選ばれる」ことだけが正解じゃないと、どこかで知っていた。
でも、その感情に気づかせてくれたのが、彼らの“告白しない”という選択だった。
🧠 もし私だったら──
もし、私があの場所にいたら。
たぶん、さらのように一歩引いてしまっていたと思う。
好きな人が誰かに笑っているのを見て、その横顔の意味を考えて、
「私にはチャンスがないかも」と思って、勝手に終わらせていたかもしれない。
ねねの涙にも、すごく共感した。
“もう少し早く動いていたら”っていう後悔、きっと誰にでも一度はあるから。
でも、いちばん心に残ったのは、告白しなかったはると君の背中だった。
私はあんなふうに、誰も傷つけないように、自分を納得させられただろうか?
勇気がないって思われるかもしれないけれど、本当の優しさって、ああいう沈黙の中にあるのかもしれない。
もし私だったら、あの“選ばなかった”告白を、ずっと忘れられなかったと思う。
まとめ:恋のかたちは、言葉だけでは決まらない
「好き」と言えたかどうかで、恋が成功だったかは決まらない。
むしろ、その言葉を伝えられなかった人の中にこそ、“本気”が隠れていることもある。
今回のマクタン編で心に残ったのは、告白の数や成立カップルの数ではなく、
「自分の気持ちと向き合うこと」の難しさと尊さだった。
誰かを選べずに終わったはると。
選ばれなかったさら・ねね・ひな。
想いを受け取ったりのんと、それを届けたかなと。
それぞれの恋が、“その人らしい形”で完結したことに意味がある。
「告白しなかった彼に、なぜこんなにも心を奪われたのか」——
それは、彼の選んだ沈黙に、私たち自身の“言えなかった恋”が重なったからだ。
伝えられない想いも、ちゃんと恋だった。
それを思い出させてくれたマクタン編に、そっとありがとうを言いたい。
💌 しおりのこぼれ話
書きながら、何度も「告白ってなんだろう」と考えてしまった。
“好き”って伝えた瞬間から、恋が変わってしまうことってある。
うまくいけば関係が深まるし、でもうまくいかなければ、もう戻れない。
はると君は、それを誰よりも分かっていたのかもしれないな、って。
きっとね、告白しないって決めた夜、彼は誰よりも恋について真剣に考えていたと思う。
言わなかった彼と、言ったかなと君。
どちらが正解とかじゃなくて、恋には「自分が納得できるかどうか」って軸が必要なんだろうな。
だから、この記事は、誰かの“言えなかった気持ち”を、そっと肯定するために書いたつもりです。
想いを受け取ったりのんと、それを届けたかなと。
それぞれの恋が、“その人らしい形”で完結したことに意味がある。
「告白しなかった彼に、なぜこんなにも心を奪われたのか」——
それは、彼の選んだ沈黙に、私たち自身の“言えなかった恋”が重なったからだ。
伝えられない想いも、ちゃんと恋だった。
それを思い出させてくれたマクタン編に、そっとありがとうを言いたい。
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